外壁アクリル樹脂塗料の特徴・耐久性・平米単価(相場)2000~3000円
2018/11/28
アクリル塗料の特徴:早く劣化しやすい
アクリル樹脂塗料と言っても様々なものがあり、純粋なアクリル樹脂を使っている塗料ほど高いものになります。
一般的に安価で発売している塗料は純粋なアクリル樹脂を使っておらず耐久性も耐候性も低い安い樹脂を使用しています。
身近なものにあるもので例えるならば、油絵の具などもアクリル樹脂のものが多いです。
油と水は混ざり合わないので、耐水性はそれほど悪いものではありません。
水性のアクリル樹脂塗料でも、乾いてしまえば耐水性を持つので外部で使うことができます。
塗料ではありませんが、とても透明度が高く頑丈な水族館の水槽などもアクリルで出来ているものが多くあります。
これも紫外線によって変色したり、固くなり弾力性が無くなるので主に屋内向けになります。
外壁塗装で使われるアクリル樹脂塗料は安価な物は最初は綺麗ですが、早いうちに変色したり色が褪せたりと、性能は良くありません。
アクリル塗料の耐久性:5~8年
アクリル樹脂塗料の多くは、水やシンナーなどの溶剤成分が蒸発することによってくっついて固まります。
シリコンのシロキサン結合やウレタンのイソシアネート結合と違って、揮発乾燥型や乾燥重合型と言われる反応で、蒸発により塗膜の表面に樹脂の成分が集まってきて塗膜になっています。
塗膜の分子同士の結合力がそれほど高くないために、紫外線や水、空気の影響を受けて劣化しやすい塗装なのです。
結合が切れてくると、チョーキングと言われる、触ったときに手にチョークの粉を付けたようなような状態になってしまいます。
この様な一般的な安価なアクリル樹脂塗料では塗り替えサイクル5年~8年程度になっております。
最近出てきた、アクリル系のラジカル制御型塗料や高純度なアクリル樹脂塗料ではこの分子の結合が切れることを抑制することができ、耐候性に特化した樹脂の作りになっているので、塗り替えサイクル10年~15年程度とシリコン樹脂塗料並みの耐久性になります。
アクリル塗料の平米単価(相場):1000~1200円
アクリル樹脂塗料は一般的には安価なものが多く、現在では以前ほど外壁塗装で使われる割合は少なくなっております。
昔は選べるほど塗料の種類がなかったため使われていました。
耐久性を求めない部分や、塗り替え頻度の多い看板などに多く使われております。水性のアクリル樹脂塗料は内装や外装の両方で使うこともできるために、まだ需要もあり多く生産されています。
内装でそれほど耐久性が求められない場所は水性アクリルや弱溶剤型のアクリル樹脂塗料でも十分かと思います。
溶剤型のアクリル樹脂塗料は、市場需要が減少したために、多くのメーカーが生産を中止しています。
それでも一部の需要のために生産しているメーカーはあります。
水性アクリル樹脂塗料はまだ古い仕様書を元にして公共工事などで使用する事があるために需要はそこそこあります。
主にほこりが立ちにくくするためにアパートや工場などの床、住宅や店舗などのスレート瓦やコンクリート瓦、そのような場所に使用されています。
平米単価は塗装する面積によって違いますが、1000円~1200円程度で施工している塗装業者が多い様です。
できるだけ安く塗装したいというのはわかりますが、思ったより早く塗り替え期間が来てしまうためあまりオススメできません。
アクリル塗料のコスパ
いろいろある樹脂の中でアクリル樹脂塗料は価格は安いのですが、塗り替えサイクルが短いために足場等の諸費用が多くかかってしまいます。
そのためコストパフォーマンスは決して良いものではありません。
自分でDIYした家具などの塗装に使うので有れば、コスパは良いのですが、外壁ではそうはなかなか行きません。
足場をかけなくても塗装できる建物などではコスト的に高くはなりませんが、頻繁に塗ることになるので業者に頼んで塗装するので有れば同じことです。
塗装後3年程度で退色や変色してくることが多く、ツヤが引けるのも早いために、資産価値が低くなりやすいです。
もしアクリル樹脂塗料を選ぶのであれば、ラジカル制御型塗料か高純度のアクリル樹脂塗料を選んだ方が良いでしょう。
他の塗料との違い
アクリル樹脂塗料は、作りやすいことと、初期のツヤが良く色の再現性も良いことから古くから製造されていました。
現代においては、価格も安く使いやすいのですが、より良いシリコンやウレタン、フッ素などの、樹脂を使った塗料が多く出て来たので、外壁塗装で使われることは少なくなってきました。
それでもアクリル樹脂塗料の良いところを引き出した、新しい塗料が出現してきたので少し状況が変わってきています。
アクリル系のラジカル制御型塗料ならば価格もそれほど高くなく、通常のシリコン樹脂同程度の性能を持っているものも出て来ていますし、純粋なアクリル樹脂をメインとして作られている塗料なども出ています。
どのような塗料で外壁を塗装するか選ぶときは、樹脂だけで選ぶのではなく、性能で選ぶことが必要になってきているのではないでしょうか。